就業規則Q&Aコーナー
- 当社は常時7人の労働者が働いており、10人以上の雇用する予定はありません。就業規則を作成したほうがよろしいでしょうか。
- 就業規則の作成義務はありませんが、就業規則を作成することで、労働条件・懲戒規定・休職規定などの労務管理上のメリットがあります。
- 当社では就業規則を10年以上前に作成し、それ以降改正をしていません。実態と相違しているのですが、大丈夫でしょうか?
- 就業規則と実態の労働環境が異なっていると会社に思わぬ損害や不利益が生じる場合がありますので実態に即した内容にするため、定期的に就業規則を確認する必要があります。
- ハラスメント規定は整備したほうが良いでしょうか?
- セクハラについては、会社にセクハラ防止措置(男女雇用機会均等法11条1項)が義務付けられており、パワハラも改正労働施策総合推進法において、必要な措置を講じることが義務となっています。これらの理由から就業規則や服務規律を整備することをお勧めします。
- 勤務成績不良の場合、賃金を減額することはできますか?
- 減給には就業規則の根拠規定が必要です。ただし、減給は当然に認められるものではなく、減給を行う仕組みが正しく整備され、かつ、運用がされていることが必要です。
- 当社の就業規則には、競業禁止規定がありません。競業禁止規定は必要でしょうか?
- 競業を禁止する合理的な理由があれば、就業規則に定めることは問題ありません。ただし、職業選択の自由が労働者にはあるため、慎重な判断が必要な場合もあります。
- 当社では、時間外労働の事前許可制を定めていますが、無許可の労働者への残業代の支払いは必要ですか?
- 事前許可制の場合、形式的な手続きにするのではなく、厳格的な運用が必要と考えられます。使用者の黙示や黙認の指示があるようなケースの場合は残業代を支払う必要があります。
- 懲戒に関する法的根拠はありますか?
- 労基法上89条9号において、就業規則に制裁の種類及び程度を定める必要があります。
- 当社では突然退職すると業務に支障が出るので退職日の3カ月前に退職願いを提出するように就業規則で定めていますが、その効力はいかがでしょうか。
- 辞職の意思表示は、2週間経過すると民法において退職の効力が生じると定められています。就業規則で定めた期限内に提出がなかったことを理由に拒否することはできません。
- 退職に伴い業務の引継ぎを行わない社員に対し、退職を認めないとすることはできますか?
- 不当に労働者を拘束するように考えられるため注意する必要があります。
- 就業規則に秘密保持規定を定めていますが、この規定に違反した場合はどのように対処すればよろしいでしょうか。
- 就業規則に解雇・懲戒処分・退職金の不支給・減額などを定め対応するべきと考えられます。
- 貸与したパソコンやスマホを業務外で使用していますが、留意する点はありますか?
- 職務専念義務・施設管理権から業務外で使用することを禁止する規定を設けることをお勧めします。
- 就業規則の内容と個別労働契約の内容が異なるのですが、どちらが有効なのでしょうか。
- 個別労働契約は、就業規則よりも労働者に有利な労働条件であれば有効になります。
- 就業規則に私傷病休暇に関する制度がありません。大丈夫でしょうか?
- 私傷病休暇制度を設けるかどうかは使用者の判断になります。法的に必ず設けなければならない制度ではありませんが、設けられたらいかがでしょう。
- 解雇と退職は同じ扱いですか?
- 解雇と退職は、労働契約が終了するという意味では同じですが、法的な効果が異なるため、正確に区分して規定する必要があります。
- 振替休日と代休の違いを教えてください。
- 振替休日は、「あらかじめ」休日と定められた日を労働日として勤務し、他の労働日を事前に休日の予告をすることをいいます。代休は、休日労働が行われた際、代償的に他の労働日を休みにすることをいいます。
- 休日と休暇の違いはありますか?
- 休日は、労働義務が課せられていない日をいいます。一方、休暇は、労働義務が課せられた日となり、条件次第で免除することになります。
- 体調不良の従業員に対し、診断書の提出を命ずる規定を設けることはできますか?
- 使用者には安全配慮義務があるため、体調不良の労働者に対し、病院への受診や診断書の提出を指示することなどの規定を設けることができます。
- 欠勤・遅刻に関して、規定がなくても賃金を控除することはできますか?
- 一般的に日給制・日給月給制などでは賃金控除が可能となるケースが多いと考えられますが、賃金控除を予定していない契約と評価される可能性もあるため、賃金控除を予定する賃金規定を設けるべきと思われます。
- 割増賃金の算定基礎から除外される手当を教えてください。
- 労基法37条5項、同法施行規則21条では、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まないとされておりますが、手当の名称がこれらに該当すれば当然に除外されるというものではなく、実質的に判断されます。
- 感染症の恐れがある労働者への対応はどのようにすればよろしいでしょうか?
- ある程度予測ができる規定を作成し、職場内への入場を禁止する規定を設けておくことが望ましいです。
- 懲戒を行う際、手続きを就業規則に記載する必要はありますか?
- 懲戒処分の手続きが必要であるとする法律はありませんが、懲戒処分の手続きに関する規定を設け運用することを推奨します。
- 懲戒解雇の場合、退職金を支給しないとすることは可能でしょうか。
- 裁判例では、懲戒事由があり、永年勤続の功を抹消してしまうほど重大な行為が必要と判断しています。
- 退職後、資格取得の費用を返還する旨の規定を設けることはできますか。
- 規定を設けることは可能です。ただし、業務との関連性が高く、本人の利益とならないような費用の場合は注意が必要です。
- 従業員が故意や重過失により会社に損害を与えた場合、従業員が賠償責任を負う旨の規定があったほうが良いでしょうか。
- 就業規則への記載がなくても民法を根拠に損害賠償を請求することができるものの、労基法16条の損害賠償の予定に抵触しないように留意し、注意的に規定を作成することが考えられます。
